42.タイトルの 少笑発進・・・笑いについて

回顧録編

 

脱線した話で恐縮ですが、タイトルの少笑発進の少笑にはニヤッと笑う、プッと吹き出す、クスクスと笑う、思い出し笑い等の少笑の意味です。私はもの心ついた頃(中学生)からTVで寄席番組を見るのが好きでした。学生の頃に私は目のクリクリッとした可愛いらしい彼女を連れて上野鈴本演芸場に落語を聞きに行った。左端の一番前の席に座り幾つかの落語を聞いた後、海苔巻きや稲荷寿司を、彼女と話をしながら頬張る。その時粋な着物姿で三味線をかなでながら語り始めた。チラッとこちらを見て『そこの二人寿司なんか食っている場合じゃあないよ。為になるから私の話を聞きなさい。』で皆がこちらを見ながら大爆笑、私達は恥ずかしさで下を向いたまま、その後本題に入りお喋りと三味線を引きながら都々逸等を披露、その間もちらちらとこちらを見る。大拍手の中、楽屋へ。いじられるのもまんざら悪くないな、いやむしろ快感かもしれない。43年も前の話で懐かしく思い出します『玉川スミ』師匠で2012年92歳で永眠。30代の頃の私は仕事の帰りによく池袋演芸場に、下足番に靴を預け、お茶と菓子を頼み座敷の真中で偉そうに落語を聞く。出演者よりも客の方が少ない?その後深夜寄席とうたって¥300‐?を徴収、若手大喜利、司会はかえる(鈴々舎馬風)師匠で大きいハリセンを持って。この頃が一番熱心に落語を聞き楽しんでいたかもしれない。ところで落語家(噺家)ってすごいものだなあと感心する。演者がたった一人でその話の中での登場人物を全て表現し、笑わせ聞き手を話に引き込んで行く話術。ところで私の好きな落語家ベスト3。第3位2代目桂枝雀師匠 兎に角面白かった。第2位は5代目古今亭今輔師匠、好きな演目は『ラーメン屋』笑いながら胸がきゅっと締め付けられる。そして第1位は十代目金原亭馬生師匠で好きな演目は特に『笠碁』待ったなしの待ったをし、喧嘩別れをした町内のヘボ碁仲間、笠をかぶり店の前を行ったり来たしている町内のヘボ碁仲間を店の中の友がそれを呼び止められないもどかしさ、自分もそこにいて一緒になって手招きしているおかしさ、馬生師匠の名演技です。そう言うおかしさを随筆文で少しでも現わせたらなあと思いますもいつも才能が無く駄文で申し訳ありません。最近寄席へ行ってきました。2013年2月2日(土)正岡子規が晩年住んでいた台東区根岸にある子規庵で正岡子規(四季)にちなんで年四回行われるヘチマ寄席。今回の演者は金原亭世之助師匠で偶然にも馬生師匠のお弟子さんでした。演目は長い演目で文七元結(ぶんしちもっとい)世之助師匠の熱演に目を潤ませ聞き入っていましたが、途中から聞いた事のある話だな、どなたが演じた話か(噺家)やっぱり似ている。名人の3代目古今亭志ん朝師匠(馬生師匠の弟)で2度びっくり。私は『少笑』の笑いが好きであり、タイトルに。

 

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