25.西伊豆・木負でのボート釣り

1977年~1998年頃の話

 

㈱Tの社員慰安旅行で西伊豆・木負(きしょう)にある船のホテルスカンジナビア号に宿泊、翌日Hさんとボートを借り釣りをする。店名は杉本ボートで店主(おやじさん)はバンカラ風で良く通る太い声で今釣れている魚を詳しく教えてくれる。店内では朱色で大鯛の魚拓や30㎝オーバーの白鱚の魚拓が所狭しと並んでいる。ここはどん深で少し漕ぐともう水深20m以上あり注意事項は、直接養殖生簀には係留してはいけない。付けるとしたらその外の発泡スチロールの大きなウキブイにつける事。漁師さんとトラブルを起こさない事。我々は青イソメで河内川の流れ込みからスカンジナビア号の側を流しながらキス釣り、その内居眠りをしながらの釣りで置き竿に魚信、十分な手応えでビッグサイズの白鱚を取りこんだ29.5㎝で今でも私の記録である。やはりここ木負のメインはやはり大鯛で独特の釣法で釣る。ちょっと紹介します。

撒きコボシ釣り:手釣りでシンプルな釣りである。糸は決めた分だけ出しておく。薄っぺらい石を大量に船に積み。その石を1つ取りその上に餌を付けた鉤を置きさらにその上にコマセも乗せる。石にハリスの糸でぐるぐるとある程度巻く、それをそーと海の上に置き糸を送り込んで行く決められた処まで来たら糸が解けて同時にコマセも散る。鉤についている餌も海中を漂う。シンプルイズベストの仕掛けで魚を掛ける釣りである。やって見たい釣りだが私には多量の石が揃わないので無理。その後の私は家族とお盆休みに山梨の妻の実家に行く。その度に山梨から木負へ夜には堤防の根元に有る駐車場の岸壁で黒鯛を狙い仮眠、翌朝早くから杉本ボート店で半日釣りをし、また山梨に戻るを20年ほど続けた。1年にいっぺんの釣りである。釣果のほとんどが18Lのクーラーの底が魚で隠れて見えないほどの釣果。最初の頃は岸壁でいつもカイズの型を見た。ボートではイサキの若魚(ウリンボウ)がサビキ釣りで入れ食い(約80匹)やシマダイ25cm級やシマイサキの引きの良かった事や生簀のロープ下では良型カサゴの数釣り等と面白かったが、途中から釣り専用ロープが出来、ここで釣りをしなさいとの事。他の生簀回りは御法度です。仕方なく専用ロープでコマセの真鯛狙いで朝の第1投コマセをまいて竿いっぱいまで誘うと魚信、合せるも真鯛の様な手応えはないが何かが掛かっている。コマセカゴを中に入れハリスを手繰り寄せ船に抜き上げると40cmのヒラメでガッツポーズ。ただこの場所ではウマズラ等がつれたがその後は良い釣りをしていない。ある時スカンジナビア号の付近の流れ込みでキス釣りをしていると中年夫婦のボートが近づき『キスは釣れる?』『この辺でボチボチ』するとおもむろに仕掛けを入れ竿がしなっている。見ると良型の真鯒を次々に上げている。餌を聞くと鰯で少しお裾分けと死んだシコ鰯を5匹ほど貰う。下あごから鉤を通し、仕掛けを底にはわせ、艪を漕ぐと生きていると思い餌に飛びつくとの事。実践してみると魚信があるが上手く鉤がかりしない。餌5匹でやっと1本釣り上げた。翌年からは小型クーラーに活き泥鰌を持参し意気揚々と釣り開始する。中々思うようには釣れず海水に浸かり泥鰌がすぐに弱るも粘って真鯒やマハタの若魚等も釣れた。またある時の事、釣りを止めてすぐ近くのボート店に戻ろうと艪を漕ぐがいっこうに進まずやっとの思いでボート店についた。大変疲れた。きっと潮の流れが速かったのだろう。それとその当時の船外機エンジン付きボートは確か1日¥5,000-と大変に安かったと思う。そんな訳で1995年に小型船舶4級操縦士の免許を取りその後は船外機エンジン付きボートで楽楽釣行となった。その後お盆に長い休みが取れなくなり1998年で終わりにした。 

 

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