13.五島列島の『太かクロ』釣り

1975年~1976年の話
【㈱ZT福岡支店編】

 

福岡に来て毎回真鮒を釣っていて少し飽きた頃、社内で支店長始め全員(私を入れて5名)が海釣りをする。場所は五島列島の離れ磯に渡って『太かクロ』が釣れる。聞き慣れない名の魚で思わず黒鯛かと聞き直すと黒鯛はチヌで関東で言う『メジナ』で関西では『グレ』の事『太か』は『大きい』の意で近くの釣具店が全てを斡旋(渡船とコマセ代で当時1万5千円と高く)妻の許可をとり釣行決定。釣行前夜釣具店前で各自がアミエビと配合飼料を大きな入れ物に開けセメントを捏ねる様に混ぜてバケツに入れる。当時の付け餌はアミエビをビー玉大の大きさにストッキング様のもので包んだもの。Mさんは良く釣れる特エサが出たと言ってエビを買っていた。後年になって判ったのだが『オキアミ』だった。各自準備が出来会社の車で5名を乗せ長崎県の渡船の待ち合わせ場所(平戸か佐世保)へ移動、朝暗い中から船に乗り込み、日の出とともに磯に渡る。『○○の磯に乗りたい』『先週乗せたからだめ、10日は磯を休ませる』と言った具合で今回は希望の名磯に乗れた。海の色が濃青でとてもきれい、皆の取り決めは『ハリスは最初2号、釣れなくなったら一緒に1.5号に、抜け駆けはいかんバイ』仕掛けは磯竿に3号の道糸、上から飛ばしウキ、シモリウキを間隔を取って3連にし一番下を僅かに沈む様に調整、ハリス1ヒロで始める。コマセを2、3回撒くと海の色が黒みがかって来る。魚は見えないが魚影が凄く濃い。しばらくするとウキがあたかも潜水艦が水中に潜って行くようにゆっくりと潜って行く。大きく合わせる。かなりの引きで慌てる。隣のTちゃんが玉網アシスト約30cmのクロ、Kちゃんの魚を今度私がアシストといった具合に忙しくなり各自皆掛けたら牛蒡抜き、その後ハリス切れ、が続き不調、底が見えないが足元の磯が先から手前にえぐれている様、それと今考えると魚が大きいのか尾長だったのか、もっと慎重にやり取りすべきだった。好場所が狭いので支店長とMさんを残し、我々素人3人組は別の場所へ移動、少し小ぶりだがクロと引きのいいバリ(アイゴ)の入れ食い、バリは毒のあるヒレをハサミで処理しクーラーへ。食いも落ち着いた所で私は右側がえぐれていてその先が出っ張っている所へ遠投、コマセは届かない。ウキがスーと消えて行く糸ふけを取って大きく合わせると今までと違った引きで沖へ出て行く。ゆっくりと落ち着いて糸を巻いてくると魚の色が違う。50cmほどの青物が玉網に、後でMさんが『ヒラスさ回って着たばってんがよう釣れんかった』と悔しがった。『もしかしてこれ』と見せると『ヒラス、ヒラス、よかねー』これもこちらの呼び方で後で調べてみると『ヒラマサ』でした。今回の釣果はクロ、バリともに10匹ずつとヒラス1本で大漁でした。 

 

自然豊かで魚影も濃く何度でも行きたかったがその後2度ほど釣行でジエンド。理由は無事長女が生まれた事と釣行費が大変で自粛。真鮒釣りに没頭で本社に戻る事になりました。

 

福岡(博多)は魚の鮮度が良くて刺身がとても美味い。それとトンコツラーメンもさることながらウドンがとても美味く強く印象に残っています。 

 

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